仮想通貨事業の証券参入はSTOによるデリバティブ取引が普及する可能性があります。

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仮想通貨が証券参入

2019年3月6日に日本経済新聞が国内大手の仮想通貨取引所3社(QUOINE、リミックスポイント、ビットポイント)の証券業参入を報じて大きな話題になりました。

 

2019年に入ってから、仮想通貨関連法の改正の議論が通常国会で行われていて、法改正を見込んだ証券参入の動きです。
もっとも積極的なQUOINEは、早ければ2019年内に認可申請を行い、2020年の業務開始を目指す予定です。

 

証券参入する背景

証券参入の理由とは

仮想通貨はこれまで金商法など、法律による制限が少なくICOを巡る詐欺が問題視される場面がありました。
2019年に入ってから仮想通貨の規制強化に向けた法改正を行う議論が加速していている一方で、STOによるデリバティブ取引が普及する可能性を秘めています。
デリバティブ取引が認められた場合には証券会社の認可を受けているマネックス、SBI、GMOが有利になるため、仮想通貨の取引所として運営してきた業者が一斉に証券参入の動きを見せました。

 

現在流通している通常の交換やFX、レバレッジ取引は従来通り、仮想通貨交換業のみで運営できますが、今後は今まで以上に規制が強化されます。
何よりも、証券会社と提供できるサービスに差があると、信頼性の観点から通常の交換業も投資家離れが進んでしまう懸念があります。
今後は仮想通貨の交換も証券会社が提供するのが当たり前の時代に変化していくでしょう。

 

 

STO(セキュリティー・トークン・オファリング)が普及する可能性

 

STO(セキュリティー・トークン・オファリング)を簡単に言えば、企業が資金調達するための証券や債券を専用の仮想通貨(セキュリティトークン)で発行する企業の資金調達法です。
仕組み的には企業の資金調達目的によるICOと似ていますが、参加者は個人投資家中心だったICOに対して、証券のカテゴリーへの分類が明確になることで機関投資家や企業まで拡充できる効果が期待されています。
すでにアメリカとシンガポールでは始まっているサービスで、日本でもSTOによる資金調達が行う上で、デリバティブ取引の一種に該当されるため、証券会社のみが扱うのが妥当といった考えが広がっています。
STOが普及すれば、世界中の投資家や企業から資金提供を募れるようになるので、中小企業を含めて仮想通貨を活用した資金調達が広がっていくかもしれません。

 

先物やオプションも始まる?

 

デリバティブ取引の代表的な存在が先物とオプションです。
現時点では証券会社本体が仮想通貨交換業の登録をしていないので、国内の取引所では行うことはできませんが、大手の証券参入が進めばビットコインを中心にした先物取引が普及する可能性があります。

 

実はアメリカでは2017年12月からCBOE(シカゴ・オプション取引所)とCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)でビットコイン先物が上場されて既に始まっているサービスです。
日本ではFXの人気が高いので先物を求める意見が少ないですが、イーサリアムやリップルなど時価総額を拡大させるアルトコインが増えているので、複数の銘柄の平均価格で売買できる仮想通貨先物のような商品が登場すれば、普及していくかもしれません。
現状は国内で先物取引に関する動きはありませんが、仮想通貨の市場規模が拡大していけば、いずれは国内の証券取引所に上場する日が訪れるでしょう。